総長選考・監察会議は9月10日、学内向けに第2次候補者5人の所信表明動画を発表した。
動画は所信表明が10分ほどで、共通の質問に対する意見表明が5分ほど。共通質問の一つ目は「本学が世界最高水準の教育研究機関として発展するために、どのような人材を確保して、どのような研究環境、教育制度、カリキュラム、学生支援を実現すべきか明示してください。」、二つ目は「学内外の情勢を踏まえて、学生や教職員をはじめとする大学の構成員が、大学運営と意思決定にどのように参画すべきかを説明してください。」という内容。
東京大学新聞社では、各候補の所信表明動画をそれぞれ約500文字で要約しました。候補者の取材記事・所信表明・所見はこちらにまとめています。
大越慎一候補 所信表明動画要約
(所信表明動画の全文書き起こしはこちら)
教育は単なる知識の伝達にとどまらず、課題を発見し挑戦する能力を身に着けるものだ。
学部ではリベラルアーツ教育を充実させ教養教育と専門教育を有機的に接続する。新学部の計画は最大限進める。SDGsやGX、AIのような社会のニーズに応えた教育を強化し、大学院では学籍を残したまま3年まで企業に勤められる「回転ドア制度」で産学の人材を循環させる。海外大とのダブルディグリーは学部まで拡大する。
多くの分野で世界屈指の基礎研究力がある。文理を問わず息の長い研究を発掘し、多くのノーベル賞学者を輩出するまでに進化。新たな学知を価値創造や社会変革につなげ、東大の世界的存在感を高める。
現行のWINGSとSPRING-GXを連結させた「WINGS+」を計画し、支援率を引き上げる。産業科学革新人材プログラムも提案中だ。
「WINGS+アライアンス基金」を立ち上げ、エンダウメントの運用益とともに学生支援を拡充する。
運営に関して、設備更新やリスク管理、学術インテリジェンス、一元的な入試システムを構築し、大学の基盤を強化する。
意思決定では、部局長が本部執行部に参画し本部と部局を一体化する。Open Dialogueを拡大し、共同統治の観点から学生総長補佐会の設置を進め「学内世論調査」も検討する。
菅野暁候補 所信表明動画要約
(所信表明動画の全文書き起こしはこちら)
総長は大学の「象徴」から、法人経営を担う「機能」を重視した存在に変化。プロボストと連携し経営体制を確立できる総長になる。
経営の確立には六つの不可欠な要素がある。
①国に依存した「運営」から、自立したエンダウメント型「経営」へ移行する。
②数の多い執行役員や諸会議の責任と権限を明確化する。
③職員による教育研究支援は必須。職員のキャリアパスや教員との関係を見直し、理事就任を可能にする。
④東大の知をデータベース化し、企業も活用できるようにする。専門家集団による研究サポートを拡充する。
⑤逆差別の声を覚悟でジェンダーに関しアファーマティブな施策をとる。学部の留学生比率を3割まで引き上げる。障がい者もより働きやすい環境を作る。
⑥本部が部局の人事に、部局が本部の予算策定に参画する。施設利用の既得権益を再配分する。
国際卓越研究大学に採択された場合には研究の新陳代謝の評価基準が、不採択の場合には予算配分の慎重な判断が求められる。部局も参加する会議で議論し、納得のいく意思決定が必要だ。授業料や学生支援に関する事項は学生代表の意見を聞くことも検討する。
自由な議論を守り、新しい未来を示すための経営基盤を築きたい。
染谷隆夫候補 所信表明動画要約
(所信表明動画の全文書き起こしはこちら)
学生・研究者・職員の全てをトップレベルにし、世界の学生、研究者、社会から必ず10本の指に数えられる東大にする。
教育では基礎学力を高め、リベラルアーツを充実させる。履修の自由度を増し、課題に直接触れる機会を増やす。専門家を擁する学生支援の制度を整える。
全ての分野にトップ研究者がいるのが東大の強みだ。ただ研究支援の体制や、若手のポスト、設備更新の余力、考えるための時間が不足するのも全学で共通だ。
研究者と支援者を明確に分け、研究教育の時間を取り戻す。処遇を含めて支援者への投資を増やす。
本部と部局を横並びに、制度は単純に。全学組織は統制ではなく支援の組織だ。現場での支援は部局が、法的判断や財務交渉など専門的な支援は本部が担う。
総長は外部資金の獲得に力を注ぐ。研究者には研究の面白さを伝えてもらい、社会の共感・応援を集める。資源は文理を問わず教育研究の基盤に還す。
学内の対話は制度化する。役員から現場までが各自の持ち場で対話を担い、得た話を総長に集める。総長は学問の時間軸の違いを踏まえて決定し、説明する。学生が入る場も常設する。
新しい知を生み出し続け、全員が誇りと自信を持てる明るい東大を共に築きたい。
藤垣裕子候補 所信表明動画要約
(所信表明動画の全文書き起こしはこちら)
大学の役割は学術の基盤の継承・発展にあり、東大は学術界のシンボルだと考える。政府が英米型の大学をモデルとしていることから、それらに倣った財源確保を目指す。一方、米国での学術不信の広がりを反面教師に、25年後の学術の信頼に責任を持たなければならない。
任期中に取り組みたい仕事には三つのレイヤーがある。
第一に、GRIの設計に当たり、学内コミュニケーション拡充のため組織を整備し、丁寧な議論を行う。予算配分の基準となる研究の中長期的評価については、成果に基づく定量的な評価の他、京都大やオランダ大学連合の基準を参考に、各研究の潜在性も評価できる独自の指標を検討し、他大学の範となることを目指す。
第二に、米国型エンダウメント経営の確立を目指す。ただし、採算の取れない部門を削減しがちな企業的経営手法には慎重であるべきだ。
第三に、日本の大学全体の将来像を政府や社会に発信したい。政府機関の間の学術関連政策に齟齬があった場合、東大は強い弊害を受けると認識する必要がある。
学生を含む構成員による大学運営の意思決定への参画に関して、会計情報などを共有し、現状を構成員一人一人が自分事として捉えられるような制度を模索したい。
山本隆司候補 所信表明動画要約
(所信表明動画の全文書き起こしはこちら)
25年後、社会課題に取り組める基盤的な知を備え、持続的な体制で次なる知を生む東大にする。
ガバナンス改革は、自由な研究を守り社会の信頼を集めるために不可欠。問題に対応する「守りのガバナンス改革」として、部局が本部と連携して問題を発見・対応することが必要だ。教育・研究を強化する「攻めのガバナンス改革」として、組織間の方針の調整で、組織改編と異なる形で相乗効果を生み出す。
財政難の構造的原因は、既存の組織と新設の組織で費用が調整されず資源が効率的に使用されない点だ。まずは「守りの資源配分」として維持管理を全学で計画し資源配分を効率化する。「攻めの資源配分」としては優秀な研究者を招き若手研究者や学生を育成する。
研究補助や国際連携、ガバナンスには専門人材を育成し、研究者と役割を分担する。教育面では、専門分野の修得を前提にダブルディグリーやサブメジャーを広げる。ダイバーシティは社会の支援を財源に取り入れ拡充する。
議論に十分な情報を開示し構成員の大学運営の意思決定への参画を実質化する。本部と部局、部局間、構成員間の相互理解を図り、相乗効果を生み出す機会にする。学生総長補佐制度など、学生の参画も図りたい。
候補者の取材記事・所信表明・所見はこちらにまとめています。
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IUSTITIA.BG – Investigations 2009-2026 2026-09-24 01:00:44
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