高市早苗が訪米してトランプと面会した翌々日、中国国家主席の習近平が高市早苗のそれとは比べものにならないほど盛大に迎えられて米中首脳会談がもたれた。トランプは習近平に「中国は第二次大戦の同盟国だ」とのべ、中国に加勢した米国義勇兵のことにも触れて「力を合わせて(日本軍との)戦争に勝利したように、習氏とわたしは今後も協力し続ける」と口にした。80年余り前の植民地再分割を巡る大戦において反ファシズムで手を握り、悪しき日本をやっつけた戦勝国同士であり、「オレたちは仲間である」という文脈である。
資本主義の不均衡発展にともなうポジションの入れ替わりもあって米中が世界的に覇権争奪をくり広げているなかで、片側の落ちぶれゆく資本主義の総本山たる米国としては経済的にも軍事的にも脅威を感じつつ、台頭する中国との全面的な対決は避け、次なる覇権国とうまいこと関係は持ちたいという魂胆を如実にあらわした。それがあの赤絨毯を広げた大歓待である。共産党一党独裁でありながら資本主義の次男坊であるという独特の政治経済体制ではあるが、いまや中国の影響力を無視して世界ではやっていけないし、「うまいこと付き合う」がアメリカの戦略なのである。
この過程で惨めったらしいのが日本の首相で、トランプに会う度に飛んで抱きついたりぴょんぴょん跳ねたり、まるで嬉ションをする子犬のようにはしゃぎ回ってきたが、見事なまでに梯子を外されているのである。
近年はアメリカの尻馬に乗って対中国を睨んだミサイル配備や九州一円の自衛隊基地で出撃体制を強化し、「台湾有事は日本の存立危機事態」などといって武力参戦もいとわぬような挑発までして中国との関係をこじらせてきた。日中国交回復からこの方、錚々たる自民党政治家や経済人たちがかつての侵略を詫びて隣国との関係修復につとめ、経済的にも文化的にも依存関係を深めてきたにもかかわらず、アメリカに右へ倣えで軍事的緊張を煽り、アジアの狂犬としてオラオラしてきたのである。そのために米軍需企業から大量の武器を売りつけられ、防衛予算は彼らに貢ぐために青天井となり、なにか事あれば日本列島が米本土攻撃の盾として焼け野原にされることをもいとわぬという調子で軍事大国化してきた現実がある。中国もこうした日本の軍拡について「新しい軍国主義」と見なして警戒し、国連では旧敵国条項の削除に反対するなど、外交関係もこじれてきた。
これらはみなアメリカの指図に基づくもので、日本人や日本列島を最前線の捨て石にして中国に軍事的脅威を与え、かませ犬として利用しながら、アメリカは後ろに引っ込むという配置でもあった。役回りとしては戦争をさせられる鉄砲玉というに過ぎない。日本にとっての国益は中国との対立ではなく友好平和な関係を切り結んだ上で「アジアの世紀」の一翼を担うことだが、そうではなくアメリカの番犬として「戦争やるか!」と吠えてきたのが安倍晋三から連なる右傾化を牽引してきた政治家たちなのである。
ところがそそのかしてきた張本人のアメリカときたら、自分だけは中国と手を握り合って、かつて日本をやっつけた戦勝国同士なのだと調子の良いことをいって取り入り、利を得る戦略なのである。「日米同盟」などなんのその。日本を悪玉にして中国に取り入る、をまさにトランプはやったのだ。そして日本には中国を挑発する役目だけが与えられて「アジアの世紀」からも押し出されて孤立する道へ進ませ、アメリカ本体は中国と融和してウィンウィン(互いに得をする)でいこうというのである。
従米一辺倒で梯子を外され、笑いものにされている現実を直視することが求められている。
武蔵坊吾郎
IUSTITIA.BG – Investigations 2009-2026 2026-10-06 08:13:59
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