総長選考・監察会議(選考会議)の国谷裕子議長は10月13日、 総長選考に関する教職員有志からの質問状に対して回答した。16日に東大が明らかにした。①意向投票の結果をどのように考慮したか②第2次候補者をどのように比較検討したか③第2次候補者をどのように選抜したか④国際卓越研究大学(卓越大)の構想とガバナンス改革をどう評価したか⑤非公開の情報や個別事案の扱い━━について回答。意向投票の結果は「各委員の候補者に対する評価に大きな影響を与えている」と説明。最終的には「最多数の委員の支持を得た」藤垣裕子教授(東大大学院総合文化研究科)が、選出されたとした。
国谷議長は回答で、意向投票は「重要な判断材料の一つ」になったとしつつ、各委員によって考慮の度合いは異なるとして、具体的にどのように考慮されたかについての明言は避けた。評価項目に添いながら各候補の強みや課題について約1時間30分の議論を行ったとしたが、それぞれの候補者が選出された場合に、卓越大の審査にどう影響するかについては議論していないとも述べた。常務理事が汚職を行ったと認定された、工学系研究科の関連法人についても選考会議で議論されたと言及した。第2次候補者の1人で、意向投票で2度とも1位の得票数だった染谷隆夫教授(東大大学院工学系研究科)は常務理事が不正を行ったと認定された期間に代表理事を務めた経歴があるが、回答では特定の候補には言及していない。
①について、国谷議長は、意向投票が「組織構成員の幅広い支持と合意形成能力」(「求められる総長像」の具体化に係る評価項目の第14項目)に関わる重要な判断材料の一つになったと回答。重要度は各委員により異なるとしつつ、各委員の評価には大きな影響を与えたとの見方を示した。
②について、国谷議長は選考会議の長時間の協議についても説明。会議では「求められる総長像」のどの項目を重視するかについて意見交換。それらに沿って候補者の強みや課題に関して1時間半ほど議論したという。その後、各委員の候補者に対する判断を無記名投票で把握しつつ候補者を絞り込む形で、協議を進めたと回答した。28日の選考会議は午後1時に開始。総長予定者が藤垣教授に決定したと発表したのは午後8時50分だった。
③について、第1次候補者から第2次候補者への絞り込みでは、候補者の多様性の観点や、意向投票で「より幅広い選択肢」が必要となることに配慮しつつ、所見や面接を踏まえて無記名投票で絞り込んだと回答した。
④について、卓越大やガバナンス改革については、候補者が提出した所見や所信表明動画から、候補者の考えを把握したと回答。面接でも、各候補者へガバナンス改革についての質疑があったとした。各候補者が総長予定者になった場合に卓越大の審査にどのような影響があるかについては、判断材料がなく議論はしていないとした。
⑤について、各候補の推薦書、面接での質疑以外に非公開の判断材料はないとした。また、選考期間中に発覚した、工学系研究科の関連法人・総合研究奨励会での汚職事件については、東大が公表した調査資料を参考にしたと説明。1、2回目の意向投票で最多得票を得た染谷教授は、汚職が行われた期間の一部で同会の代表理事を務めていた。国谷議長は、審議において関連する質疑が1問あり、候補者から説明を受けたとした。
東大の教職員有志は10月13日、選考会議に対して総長選考に関する説明を求める文書を提出していた。併せて監事にも議事進行についての意見を求めていた。国谷議長は同日中に回答したことになる。教職員有志は13日正午時点で、523人の教職員(うち意向投票の投票資格を持つのは387人で、有資格者数の約15%に相当)が要望に賛同したと発表している。16日には、関芳弘・文部科学大臣が記者会見で要望書で指摘された事項について「法人として重く受け止めて対応する必要がある」などと述べていた。
総長選考に関する説明の要望(回答)【抜粋】
本日受領いたしました2026年10月13日付け「総長選考に関する説明の要望」につきまして、以下のとおりご説明いたします。
なお、選考過程における協議内容及び面接内容については、総長選考・監察会議において保秘事項として取り扱うことを確認しております。そのため、以下の説明については、当該取扱いを踏まえた内容となることをご理解くださいますようお願いいたします。
1. 意向投票の結果(過半数)をどのように考慮したか
意向投票につきましては、総長選考・監察会議の内規にありますように、候補者資料、推薦書、面接、動画による所信表明と並んで、総長予定者の選出にあたっての重要な判断材料と考えています。9月28日の選出に関わる協議において意向投票の結果は、評価項目の一つである「組織構成員の幅広い支持と合意形成能力」にかかわる重要な判断材料の一つになっています。総長予定者の選出にあたっては、各委員が自らの考えにしたがって意見を述べ、無記名投票によって意向を示しつつ協議を行なっていますので、意向投票の結果を他の判断材料との比較のなかで、どの程度評価・判断に反映させたかについては、各委員によって異なると思います。ただし、協議においては、意向投票の結果をどう受け止めるかについて長時間にわたり意見交換を行なっており、各委員の候補者に対する評価に大きな影響を与えていると思います。
候補者に対する評価・判断は、各委員が、候補者資料、推薦書、面接質疑内容、動画による所信表明、意向投票の結果、および協議における他の委員の考え方を含め行っており、その結果、最多数の委員の支持をえた藤垣候補が総長予定者として選出されています。
2.5名をどのように検討し、比較したか
「求められる総長像」に関わる評価項目については、どの項目に重点を置くかは、各委員によって異なるため、28日の会議においては、どの項目を重視し評価するかについて全員が発言し、意見交換を行ないました。その上で、委員全員から評価項目に沿う形で5人の候補者の強み、課題について発言をし、意見交換を行なっています。その後、各委員の候補者に対する判断を無記名投票で把握しつつ協議を行い、候補者を絞り込んでいきました。どの評価項目によって最終的に判断したかについては各委員それぞれに異なると思います。なお、評価項目に沿う形での各候補者の強みや課題についての協議はおよそ1時間30分行っています。
3.投票にかける5名をどのように選んだか
第1次候補者から第2次候補者を決定する手順については、3月13日に決定し、東京大学ホームページの総長選考・監察会議ページで公開しています。8月18日の総長選考・監察会議では、この手順に沿って、第2次候補者5人を決定しました。第2次候補者は、内規について協議を行い、候補者の多様性の観点や、意向投票の際、より幅広い選択肢が必要となる観点から5人を選ぶこととしました。5人の選出は、8人の候補者が提出した所信や8月14日と17日に行われた面接の内容などから、「求められる総長像」に沿いつつ、各委員が判断し無記名投票によって選出しています。
4.国際卓越研究大学の構想とガバナンス改革をどう評価したか
国際卓越研究大学構想については、各候補者が提出した所見で書かれている文面、および第1次候補者に対して行った面接では、冒頭の所信説明において、国際卓越研究大学構想については必ず触れることをあらかじめお願いしてあり、説明を頂いて質疑を行っています。主として、このことから国際卓越研究大学構想についての5人の考えを把握しています。ガバナンス改革につきましては、今回の選考においては重要な論点の一つであり、各候補者は、提出資料、面接での所信、動画による所信表明で触れていますので、それらから把握しました。また、各候補に対する面接での質疑でも、委員からのガバナンス改革についての質問に対する各候補者の回答内容も重要な判断材料となっています。なお、5名の候補者のそれぞれが総長予定者に選出された場合、国際卓越研究大学の審査にどのような影響があるかについては判断する材料はなく議論は行っていません。
5.非公開の情報や個別の事案をどのように扱ったか
選考の協議においては、各候補の推薦書及び面接での質疑内容以外に非公開の判断材料はありません。4月以降の選考過程の期間中に発覚した総合研究奨励会における事案については、ガバナンス改革やリスク管理に関わる事案であり、東京大学が9月11日に公表した総合研究奨励会の在り方の見直しに関するご報告」は、各委員で共有し、9月28日の協議においても、この報告について意見交換を行なっています。なお、8月14日に行われた面接においては、関連する質問が1問出され、候補者から説明をいただいております。
【参考記事】
https://www.todaishimbun.org/request_20261013/
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【総長選考2026】選考会議、教職員有志の質問状に回答 投票結果は「各委員の候補者に対する評価に大きな影響」 2026
IUSTITIA.BG – Investigations 2009-2026 2026-10-16 14:30:36
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