
2026年度から、前期教養課程の初修外国語選択制度が変更された。従来は400〜800字の理由書を提出することで希望言語を一つに絞り込める方式があったが、今年度からはすべての新入生が「第一欄」と「第二欄」に二つの言語を記入し、いずれかに自動的に振り分けられる方式に一本化された。(執筆・内田翔也)
東大新聞が新入生を対象に実施したアンケート(回答者2744人)では、制度変更の影響を問う自由記述設問に436件の回答が寄せられた。その内容は、新制度への強い不満を浮き彫りにするものだった。
回答の7割超が否定的、スペイン語落選が突出
アンケートでは、次のような自由記述の設問を設定した。「27-3今回の制度変更について、あなた自身に及ぼした影響があればお答えください。(特にない場合は空欄のままで大丈夫です)」
この設問に回答した436件のうち、7割以上が否定的・批判的な内容だった。「特にない」「どちらでもよかった」など中立的な回答は約17%、「迷っていたので決めてもらえてよかった」など肯定的な回答は約11%にとどまった。
否定的回答の中でも多かったのが、「希望した言語のクラスに入れなかった」という訴えで、回答のうち約155件を占めた。言語別に見ると、スペイン語を希望しながら別言語に割り振られたという回答が突出して多く約45件、次いでフランス語が約20件、中国語・ドイツ語・韓国朝鮮語が約10件と続く。ロシア語とイタリア語についても、数件ではあるが同様の回答が確認された。
「スペイン語を1年以上かけて多少勉強していたものの、結局別の言語選択になってしまい、残念だった」「スペイン語を学びたく、それ以外はあまり希望がないため、とりあえず話者の多い中国語を選んだら中国語に決まった。残念」—こうした声が象徴するように、スペイン語は特に希望者が集中し、定員を超過したとみられる。従来から、スペイン語は希望者の多さと講師の不足のギャップが大きかったようだ。
もちろん、スペイン語希望者だけが割り振りに不満を持っているわけではない。「スペイン語にしたかったのにフランス語になった」という回答がある一方で、「イタリア語を希望していたのですがスペイン語に割り振られショック」という回答も存在し、あまつさえ「友達にスペイン第一希望中国第二希望と、中国第一希望スペイン第二希望がいたが、両方が逆になった」という回答さえ存在している。例えばスペイン語など特定の言語においてその人気から定員数を超過するという事態は想定しうるものの、それでは他言語を第一希望としていた学生が、第二希望のスペイン語に配置されるという現象が説明できない。
「ランダムに等しい」振り分けの構造的問題
なぜこのようなミスマッチが生じるのか。問題の核心は、新制度が二つの言語の「希望順位」を学生に問わない点にある。
旧制度では、理由書を提出した学生は第一希望を一つに絞って明示できた。新制度では第一欄・第二欄に二言語を記入させるが、それが希望順位であるかどうかは学生側に明示されていない。実際、「1つ目の欄と2つ目の欄、それぞれ何語を選択したか」を問う設問(27-1)と「第二外国語が何語のクラスに決まったか」を問う設問(27-2)の間にある乖離が、アンケートの記述回答に如実に表れている。アンケートによれば、1つ目の欄に書いた外国語に決まった人の数は2110人、2つ目の欄については609人であった(希望しない外国語に割り振られた可能性や、既習外国語クラスにおける登録上の違いなどで、総数はアンケート回答数に一致しない)。
「1番目と2番目の欄に優劣があるかわからなかったので、自分の学びたいものが選ばれるように、他方を人気のある言語にした」「なんとなくスペインとフランスの人気言語2つを選んだ人はスペイン語になり、片方を非人気言語にした自分はスペイン語を外したのは理不尽だと感じた」——これらの声は、こうした制度設計に翻弄される新入生たちの声を反映したものであるに違いない。希望順位を問わないまま振り分けを行うことが、いかに不合理な結果をもたらすかは明白だ。
希望順位を収集しないということは、マッチングの最適化を行う余地がないに等しい。東大が1990年代から段階的に導入し、「ゲーム理論の実用例」として知られるようになった進学選択制度は、マッチング理論に基づくアルゴリズムで志望者と定員を調整する。進学選択は、限られたリソースや定員の中で両者のマッチングを最適化しようとする努力が見て取れる。一方で、初修外国語の新制度はそれと対照的に、学生の希望の強弱を受け取らない。仮に純粋なランダム割り当てではないとしても、最適化の余地を自ら封じた設計になっている。希望順位を聞いて適切なアルゴリズムを組めば、志望理由を精査するコストを省いたとしても、防げたミスマッチが数多くあったのではないか。中には、「学びたい言語を選べるように、もう一つは人気言語を選んだ」という戦略をとった学生が、結果として人気言語の方に割り振られてしまうケースもあったようだ。これは制度が希望順位を問わないために、学生の意図と逆の結果を招く構造的な欠陥だ。旧進振りは不透明であっても学生の志望順位を考慮していた。今回の制度は、学生の第一志望という概念すらも、設計から排除している。マッチングの仕組みを導入する前の旧進振り制度より退化しているという評価は言い過ぎではないだろう。
また、第二外国語選択についての広報の物足りなさも象徴的だ。東大教養学部は、今回の初修外国語選択制度の変更について、公式になんのメッセージも発していない。入学者募集要項にも初修外国語の登録方法について詳細な言及はなく、制度変更が公式に受験者に周知されたのは、試験当日に配布される入学手続要領が初めてとみられる(東大は、受験から合格発表および入学手続までのスパンが非常に短いため、事前に受験者全員に入学手続要領を伝えている)。これは事実上、出願・受験というすべての意思決定が完了した後での周知だ。
なかには「出願前に今回の制度変更を知っていれば東京大学を受験していなかった」という声もある。特定の分野において、第二外国語が非常に重要な意味を帯びることは明白であり、進路設計の一部として特定言語の習得を見込んでいた学生にとって、この広報の不足、不確実性は単なる「不満」にとどまらない。教養学部は、第二外国語の選択がランダムになってしまうという事実が、「東京大学を受験していなかった」という意思決定につながるほど重大な変更になるという可能性について、どれほど自覚的であっただろうか。それが、学びたい学問分野への進路の妨げとなる可能性を持つことをどれだけ考慮して、受験生に制度変更の周知を行なったのだろうか。今回の対応は、極めて不十分で無配慮であったと言わざるを得ないのではないか。
学生が求める改善の方向
記述回答に見られる改善要望の中で最も多かったのは「第1希望・第2希望として順位をつけられるようにすべき」という声だ。次いで「昨年度の理由書提出による一言語確定方式に戻すべき」という意見が多く、「希望の強度を考慮した選考にすべき」という提案も複数あった。
旧制度では理由書の審査にコストがかかるため、制度簡略化の意図が理解できないわけではない。また、教員数や設備の制限から、理想的な割り振りとの相違が生じてしまうのは仕方のない部分もあるだろう。
しかし「コスト削減」と「学生の希望尊重」はトレードオフではない。希望順位を二段階で収集し、単純なアルゴリズムで最適化を図るだけで、今回報告されたミスマッチの多くは回避できたはずだ。
実際、10%程度にとどまりはしたが肯定的な回答の中では、「複数の言語で迷っており、選択の負担が軽減された」「第一希望の言語以外にも関心を持つようになった」という意見が多くを占めた。自由記述の回答にはその特性上何か特定の言語について強く希望する学生の不満が多く反映されたが、全体を鳥瞰するのであれば、そのような強いインセンティブを持った学生はそこまで多くはない。であればせめて、二つの選択言語における希望の強弱(当然その強弱に相違がないという選択だって考えられるはずだ)を明示できる形を取りさえすれば、ミスマッチは大きく軽減できたのではないだろうか。
重ねてになるが、教養学部は東京大学新聞社の昨年12月の取材に対し「現時点では公表できる情報はない」としている。教養学部学生自治会もまた昨年12月27日に声明を発表し、制度変更に際して学生の意見を聞くよう求めていたが、教養学部からの説明は全くと言っていいほどなされていない。
「なぜ学びに来た大学で、学びたい言語を学べないのか」—この問いにすら、大学側はまだ何も答えていない。
東大新聞では、引き続きこの第二外国語の履修制度変更について、報道していく。
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【再考・第二外国語選択】#2 なぜ学びたい言語を学べないのか 新入生アンケートが示す制度変更の波紋 2026 IUSTITIA.BG – Investigations 2009-2025 2026-04-25 14:00:03
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