東大は9月2日、昨年度の財務諸表を公開した。日常的な収入を表す経常収益は2997億円、日常的な支出を表す経常支出は3037億円で、39億円の経常赤字だった。不動産売買など臨時の特別損益を加えた単年度の当期総利益は57億円の赤字となった。24年度と比べ、経常収益は6億円増えた一方、経常費用が136億円増加した。
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日本経済新聞は8月7日の朝刊1面で東大の赤字を報道。これを受けて東大が8月7日に発表した声明では、物価高や人件費の上昇などで財務状況が厳しさを増していると明言。中長期的な財務基盤の強化が必要だと確認し、収入基盤の拡充や業務の効率化、経費の適正化などを進めていると説明した。
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本年度の予算も43億円の経常赤字を想定している。教育研究活動経費は合計15億円削減される見込み。部局の教育研究活動経費のカットを軽減する延命策として、運用中の基金から特例で10億円が払い出される。東大はエンダウメント型の経営の確立を目指して基金を拡大しているが、その規模は4月時点で約700億円。今年3月の運営方針会議の議事録によると、運用高が1000億円に到達し次第、基金の運用益の2%を払い出す予定だった。本年度は特例の払い出しとなる。
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文科省は火消し「資金はショートしていない」
日本経済新聞の報道を受け、文部科学省は8月12日、国立大学法人の単年度の赤字は必ずしも資金のショートを意味しないと説明した。
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損益計算書における経常赤字は、実際に支払いに使える現金や預金のキャッシュ・フローにおける赤字を意味しない。たとえば経常費用には減価償却費が含まれる。減価償却とは過去に購入した建物や実験機器などの価値の目減り分を毎年の費用に割り振ること。実際に現在の出費があるわけではない。
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東大の保有資産は1兆5216億円。うちキャッシュ・フローの対象となる現金および預金に1262億円を確保していて、すぐに日常の支払いが滞ることはない。約3000億円の経常収支に対し、過去の剰余金の蓄積である利益剰余金の保有額は1545億円。これについて文科省は企業であれば倒産に直結するような赤字ではないと、危険を否定した。
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東大は研究者の雇い止めを否定
日本経済新聞は8月7日の報道で「研究者の削減不可避」としていた。これに対し、東大は同日発表した声明で、研究者数の削減は検討しておらず、そのような方針や計画はないと述べた。
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ただ、今年3月の運営方針会議では、財務担当委員が経費削減策として、人員の漸減を示唆。重点的な成長が求められる分野には、業務の標準化や集約化により創出した余力人材を再配置するとしつつも、新規採用の増加の抑制や定年退職者の非補充を組み合わせた、全体の人員削減を示唆した。
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今年3月の運営方針会議での予算審議は、ある委員の「将来を見据えた戦略的な視点というのは、この大学に欠けている点の一つでもあります」という発言で締め括られる。
運営方針会議「5、6年は大丈夫だけれど10年はもたない」
一方、今年3月に開催された運営方針会議では、資金繰りの計画が報告された。
東大の流動性資金は、今年4月1日時点で約1100億円だというが、来年3月末には約1000億円にまで減少する見込みだ。経常赤字が年100億円規模にまで拡大した場合を想定し、財務担当委員は「5、6年ぐらい経つと資金繰り上かなり厳しいところまで来ます」と明言。運営方針会議の本田桂子議長(早稲田大学教授)も「5、6年は大丈夫だけれど10年はもたない」と総括した。
運営方針会議で財務担当委員は、国立大学の黒字化は、民間企業に比べ難しく「5年から7年ぐらいかけてゆっくりと改善していくようなことしかできない」との認識を示している。
東大は国際卓越研究大学(卓越大)への審査が継続中だ。卓越大の認定等に関する有識者会議(アドバイザリーボード)は、新たに法人のガバナンスに関わる不祥事が発生した場合には審査を打ち切るとしている。関係者によると、アドバイザリーボードからは「文春砲を2発くらって何もしないのは東大だけ」と糾弾(きゅうだん)されたとも言い、東大はガバナンス体制の再構築を急いでいる。
選考から漏れた場合、経営がどうなるかは不透明だ。昨年3月の運営方針会議では、卓越大の補助金が入らなければ「今まで東大が経験したことがないようなハードな」資源の再配分を行わなければならないと担当委員が発言していた。今年3月時点では東大は選考漏れを想定した「プランB」を十分に練れておらず、運営方針会議ではプランBを「全く考慮しないでは済まない」と状況の深刻さをうかがわせる意見が寄せられていた。
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東大が赤字決算公表 破綻を否定も「10年はもたない」 2026
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