東大の教職員有志は10月13日、総長選考・監察会議(選考会議)に対して総長選考に関する説明を求める文書を提出した。併せて監事宛に議事進行についての意見を求めた。13日正午時点で、523人の教職員(うち意向投票の投票資格を持つのは387人で、有資格者数の約15%に相当)が賛同した。(記事末尾に全文を掲載)
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今回の総長選考の経緯について、選考会議からの「説明が十分でないために」学内外で憶測や個人攻撃が広がっているとして、9人の発起人が要望書を起案した。10月9日から学内の教職員を対象にオンラインで賛同を募り、文系・理系にまたがる合計30の部局から、顕名で164人、匿名で359人が賛同した。賛同者の名簿と併せて「総長選考に関する説明の要望」と「監事に対する総長選考に関するお伺い」を選考会議に提出した。
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要望書では、選考理由から意向投票や候補者の比較が選考過程でどう評価されたか読み取れないと指摘。①意向投票の結果の考慮②第2次候補者5人の比較③第2次候補者の選抜過程④候補者ごとの国際卓越研究大学構想とガバナンス改革の評価⑤前回の総長選考で問題となった非公開情報などの取り扱い─について、判断の根拠となった事実を含めた説明を求めた。総長予定者を決定した会議(9月28日)の議事要旨の早期公表も求めた。
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監事には、9月28日の会議の進行が適正だったかなどについて、陪席した立場からの認識を求めた。
選考会議は9月28日、意向投票で2位の得票数となった藤垣裕子教授(東大大学院総合文化研究科)を第32代総長の予定者として決定した。2回目の意向投票で過半数の票を獲得した染谷隆夫教授(東大大学院工学系研究科)ではなく藤垣教授が選ばれたことについて、学内外で議論を呼んだ。選考会議は「(面接や資料に基づき)総合的に考慮して決めた」と説明している。選考会議の国谷裕子議長は、意向投票を覆す結果になったことに「批判が全くないとは思いませんが、大きな問題が生じるとも思いません」とコメントした。
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前回の総長選考では、第2次候補者の選定プロセスの妥当性・透明性が批判された。東大教員有志らが、総長選考の一時停止を求める要望書を提出するなどの混乱が生じた。第1次候補者を決める代議員会の投票で最多票を獲得した宮園浩平教授(当時)が、匿名の告発文を理由に意向投票の対象となる第2次候補者に選ばれなかったとされる。検証委員会は、小宮山宏議長(当時)の会議運営で「妥当性を欠く」発言があったと認定した。
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01 総長選考に関する説明の要望(選考会議宛に提出)
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総長選考に関する説明の要望
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今般の次期総長選考は、前回の選考の反省を踏まえ、選考方法の見直しから所信表明動画の導入まで、長い準備を経て行われたものと承知しております。私共も、「求められる総長像の具体化に係る重点ポイント及び評価項目」を踏まえて票を投じ、あるいは構成員として選考を見守ってまいりました。
総長予定者を決定する権限と責任が総長選考・監察会議にあること、意向投票が会議の判断を拘束するものではないことは、私共も理解しております。一方で、内規にいう意向投票の結果を「考慮して」とは、「意向投票に基づいて」ではないが「単なる参考」でもなく、重く受け止めるべきものであると、貴会議自身が整理されています(注1)。
しかし、公表された選考理由からは、今回の意向投票をどのように考慮し、どのような比較を経て異なる結論に至ったのかを読み取ることができません。説明が共有されないまま、学内外に憶測や個人攻撃が広がっていることも憂慮しております。
本要望は、特定の候補者を支持するものではありません。私共がお伺いしたいのは、会議が第2次候補者5名について、どのような情報に基づいて何を評価されたのか、そしてその情報は確認された事実であったのか、という点に尽きます。どなたが総長に就任される場合であっても構成員がその方を祝福のうちに迎えられるよう、次の点についてご説明をお願い申し上げます。
1. 意向投票の結果をどのように考慮したか
今回の意向投票では、1名の候補者が有効投票の過半数の支持を得ました。今回の選考方法を検討する過程でも、候補者が構成員の支持をどの程度得ているかは「非常に重要な判断要素」とされ、過半数を得た候補者がいる場合には「明確な意向が得られている」と整理されています(注2)。
この結果が、評価項目の一つ「組織構成員の幅広い支持と合意形成能力」の評価に用いられたかどうかを、お示しください。用いられた場合はこの項目の評価と他の項目の評価とをどのような事実に基づいて重みづけされたか、用いられなかった場合はその理由を、ご説明ください。
2. 5名をどのように検討し、比較したか
9月に所信表明動画が学内に公開された後、総長予定者を決定した9月28日まで会議は開かれていません。
9月28日の審議で、5名それぞれについて評価項目に沿った評価が行われたかどうか、行われた場合はどのような形(候補者ごとの評価表、項目ごとの比較、議論の記録など)で、おおよそどれだけの時間を充てて行われたかを、お示しください。また、6つの重点ポイントと22の評価項目のうち最終的な判断を分けた項目はどれであったか、その根拠を所見、推薦書、面接、所信表明動画、実績のどの資料から、どのような事実として読み取られたかをご説明ください。
3. 投票にかける5名をどのように選んだか
意向投票の候補者5名は、貴会議が8月18日の会議で、第1次候補者8名の中から選んだものです(注3)。当然ながら、候補者の構成が変われば、意向投票の結果は全く異なり、その意味では、大変重要な決定を貴会議に委任しています。構成員は、会議の決定を尊重し、会議が「適任者」と考えた5名の中で、どの候補を最も支持するかという前提で票を投じました。このように、信頼と委任に基づいた手続きの重みを十分に反映した形で、貴会議が選考を行ったことを確認できなければ、構成員は意味のある投票の機会を与えられなかったことになります。
8名から5名に絞る際に、求められる総長像のどの項目をどのように考慮されたかを、お示しください。また、最終的な判断を分けた事項は、この時点で5名それぞれについて検討されていたかどうかをご説明ください。
4. 国際卓越研究大学の構想とガバナンス改革をどう評価したか
議長は9月29日の記者会見で、国際卓越研究大学の構想やガバナンス改革についての各候補者の考え方が選考上重要な要素となった旨を述べられたと報じられています(毎日新聞10月6日)。
これらの課題について、5名の考え方や実績のどこに違いを見出され、その違いをどの資料のどの記述から読み取られたかを、お示しください。併せて、5名のそれぞれが総長に就任した場合に同大学の審査に及ぼし得る影響を審議の中で検討されたかどうか、検討された場合はその内容をお聞かせください。
5. 非公開の情報や個別の事案をどのように扱ったか
前回(令和2年度)の総長選考では、信憑性が確認されていない匿名情報を審議で取り上げながら候補者に示して反論を聴く機会を設けなかったことについて、検証報告書が「妥当性を欠く」と指摘しています(注4)。
今回の審議で、候補者本人に示されていない非公開の情報、匿名の情報、候補者に関係する個別の事案など、事実確認を要する事柄が取り上げられたかどうかを、お示しください。取り上げられた場合は、その事実をどのように確認し、候補者本人に説明または反論する機会を設けたか、また候補者本人の責任の有無など法的・専門的な判断を要する事柄が、専門家の意見を求めないまま審議で取り上げられたことがあったかどうかをご説明ください。
国立大学法人ガバナンス・コードは、法人の長の選考過程と選考理由について、できるかぎり具体的な内容の公表に努めることを求めています。前回の選考を受けた学内の検討でも、総長予定者が意向投票の結果と異なる場合には「十分丁寧に説明する責任がある」との意見が記録されています(注5)。
各項目について、判断の根拠となった事実を含め、書面でご回答いただきたく存じます。ご回答が難しい項目については、その理由をお書き添えください。併せて、第 12 回会議(9 月28日)の議事要旨の早期の公表もお願いいたします。候補者の個人情報に関わる部分は、学内限定のご説明でも差し支えありません。
本要望を受領された事実と要望事項を公表されることは差し支えありません。発起人・賛同者の氏名は、機密性2(学内限り)として取り扱ってくださるようお願いいたします。
以上
参考「求められる総長像の具体化に係る重点ポイント及び評価項目」(総長選考・監察会議)https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400285183.pdf
注(出典)
注1 総長選考・監察会議第5回(2025年8月27日)議事録。内規の「意向投票の結果を考慮して」の意味について、学内ワーキンググループの検討結果として、「単なる『基づいて』ではなく、つまり参考ではないという意味を、両方含むような深い意味を持つ」「重く受けとめることが必要である」と説明された。
注2 「非常に重要な判断要素」は、令和4年度総長選考会議から次期会議への申し送りの文言。第3回(2025年6月20日)議事録で事務局が紹介した。原文は「総長予定者の決定にあたり、候補者が大学構成員の支持をどの程度得ているかは非常に重要な判断要素であり」。「明確な意向が得られている」は、第5回(2025年8月27日)議事録における学内ワーキンググループの説明。原文は「有効投票の過半数の票を得た方がいる場合というのは、明確な意向が得られていると言える」。
注3 「第2次総長候補者の決定について(通知)」(2026年8月19日、総長選考・監察会議議長から各部局長宛)。内規第12条第4項に基づく「第2次候補者を決定するための手順について」に則り、8月18日の会議で第1次候補者8名について協議し、5名の適任者を選出して、内規第3条の表決を経て決定したとする。
注4 「令和2年度総長選考会議における総長の選考過程の検証報告書」(2020年12月11日)。匿名の告発文について、言及するのであれば候補者に示して反論を聴いておくことが望まれたとし、それをせずに言及したことは「妥当性を欠くといわざるを得ない」とした。
注5 「総長選考会議の組織検討タスクフォース報告書」(2021年3月)。学内アンケートに寄せられた意見として、「総長選考会議が選考した総長予定者が意向投票結果と異なるものである場合には、十分丁寧に説明する責任がある」を記録し、説明責任の内容の具体化を今後の課題とした。
議事録と報告書は、東京大学ウェブサイト「総長選考・監察会議活動状況」に掲載されている。
02 総長選考に関するお伺い(監事宛に提出)
総長選考に関するお伺い
東京大学総長選考・監察会議内規第5条に基づき、総長選考・監察会議の議事に陪席なさっていることと存じます。
今般の次期総長予定者の選考に関し、別添のとおり、総長選考・監察会議にご説明をお願いしております。亀井監事及び山口監事には、陪席されたお立場から、次の点について、念のためお伺いする次第です。
1. 第12回会議(9月28日)の議事進行が適正に行われたとのご認識かどうか、意見を述べられた場合はその内容を、お聞かせください。
2. 5名それぞれについて評価項目に沿った評価が行われたか、委員に等しく発言の機会があり、判断に必要な資料が事前に配付されていたかについて、陪席されたお立場からのご認識をお示しください。
3. 候補者本人に示されていない非公開の情報、匿名の情報、候補者に関係する個別の事案など、事実確認を要する事柄が審議で取り上げられたかどうかを、お示しください。取り上げられた場合は、前回(令和2年度)の総長選考過程検証報告書の指摘に沿って事実確認と本人が応答する機会が確保されていたか、また候補者本人の責任の有無など法的・専門的な判断を要する事柄が専門家の意見を求めないまま取り上げられたことがあったかどうかを、お聞かせください。
4. 総長予定者の任命の申出に係る書類の調査(国立大学法人法第11条第8項)に当たり、評価項目に沿った候補者の比較と意向投票の結果の扱いに関する記録のうち、どの記録を確認されたかをご説明ください。
構成員が確認できる形でのご回答をお待ちしております。本書の受領とお伺いの内容を公表されることは差し支えありません。発起人・賛同者の氏名・所属は、機密性2(学内限り)として取り扱ってくださるようお願いいたします。
以上
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【総長選考2026】教職員有志523名、総長選考の経緯の説明を選考会議に要望 「選考会議の説明不十分で憶測や個人攻撃の広がり憂慮」 2026
IUSTITIA.BG – Investigations 2009-2026 2026-10-13 12:40:34
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