
Echeverria-Huarte Inaki 助教(ナバラ大学)、フェリシャーニ・クラウディオ特任准教授(研究当時:東大大学院工学系研究科 航空宇宙工学専攻)らの研究チームは、人々がランダムに歩行する際、動く方向が時計・反時計のどちら回りになるかを調べた実験で、反時計回りが約65%を占めたと発表した。また、その傾向は、反時計回りの回転に強い選好を示す少数の個人が全体平均を両方向均衡から反時計回りにずらしている結果である可能性も示された。成果は6月10日付で英科学誌「Nature Communications」に掲載された。
ターミナル駅などの多様な方向へ歩く人々で混雑する公共空間では、いつしか集団が全体として反時計回りに歩いている集団反時計回り(CCW)運動という組織化されたような現象が自然発生的に起こると指摘されてきた。CCW運動の背景として集団的相互作用や社会規範などが挙げられるも決め手には欠け、混雑を緩和できる公共空間を設計する上で現象の解明が求められていた。
ナバラ大学の研究者らは、被験者に室内を歩いてもらい、移動しながら一定の距離を保てる人数密度を測定した。すると、参加者の動きには概して中心の周りを反時計回りに回転する傾向が認められた。
この発見を契機に、東大の研究者らもCCW運動が起こる理由を明らかにするための実験を行った。それを踏まえてナバラ大学は追試を実施した。その結果、集団が指示を受けていなくとも反時計回りに歩こうとするCCWバイアスは建物の壁とは無関係で、校庭などのオープンスペースにおいても同様に生じることが明らかになった。また、車線が右側通行のスペインと左側通行の日本の両方でCCWバイアスは等しく観察され、それが歩行や運転などの習慣とは無関係であることも示唆された。
最後に、個人を対象とした実験からCCWバイアスは反時計回りの回転に強い選好を示す少数の個人によって生み出され、その人々が全体平均を両方向均衡から反時計回りにずらしている可能性が示唆された。
本研究の結果を踏まえれば、CCW運動は個人の選好から起こる可能性もあり、ひいては相互作用や社会規範によらない集団的な運動の偏向が生じうることが考えられる。本研究の成果は、混雑を緩和しやすい歩行者動線の設計などに活用することが期待されている。
論文情報
Echeverría-Huarte, I., Feliciani, C., Shi, Z., Nishinari, K., Sánchez, A., Garcimartín, A., & Zuriguel, I.. (2026). Individual locomotor bias drives counterclockwise motion in pedestrian crowds. Nature Communications, 17(1).
DOI:10.1038/s41467-026-73713-w
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ランダムな歩行では反時計回りに曲がる人の割合が高い 日西2か国での研究 2026
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