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北海道のメガソーラーと大規模風力問題をどう解決するか 日弁連が公開学習会 函館や白老の住民運動報告 2026

Юстиция Иванова by Юстиция Иванова
August 11, 2026
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北海道のメガソーラーと大規模風力問題をどう解決するか 日弁連が公開学習会 函館や白老の住民運動報告 2026

北海道のメガソーラーと大規模風力問題をどう解決するか 日弁連が公開学習会 函館や白老の住民運動報告

(2026年8月3日付掲載)

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北海道のメガソーラーと大規模風力問題をどう解決するか 日弁連が公開学習会 函館や白老の住民運動報告 2026 wodou suruka hui nozhu 2026 (2026年8月3日付掲載)
石狩湾の港湾区域で稼働する石狩湾新港洋上風力発電。8000㌔㍗の巨大風車が林立する
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石狩湾の港湾区域で稼働する石狩湾新港洋上風力発電。8000㌔㍗の巨大風車が林立する

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 日本弁護士連合会は7月30日、「北海道におけるメガソーラー及び大規模風力発電による問題をどう解決するか」と題する公開学習会をオンラインで開催した。北海道でのメガソーラーや風力発電の建設にともなう乱開発の実態や、住民がどのような問題に直面しどんな運動をおこなっているか、地方自治体はこの問題にどのように対峙すべきかを、住民団体や専門家の報告とディスカッションを通じて学ぶもので、約230人が参加した。北海道自然保護協会常務理事で「函館の水源と生態系を守る会」共同代表の佐々木邦夫氏、横浜市立大学データサイエンス学部准教授の田鎖順太氏が講演をおこない、白老町再生可能エネルギー連絡協議会事務局長の大西潤二氏と、弁護士で日弁連公害対策・環境保全委員会メガソーラー問題検討プロジェクトチーム委員の小島延夫氏が報告をおこなった。佐々木氏と大西氏の講演・報告を中心に、公開学習会の模様を紹介する。

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北海道のメガソーラーと大規模風力問題をどう解決するか 日弁連が公開学習会 函館や白老の住民運動報告 2026 wodou suruka hui nozhu 2026 1 (2026年8月3日付掲載)
石狩湾の港湾区域で稼働する石狩湾新港洋上風力発電。8000㌔㍗の巨大風車が林立する
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北海道豊富町の風力発電

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・狙われる北海道の山と海

  北海道自然保護協会常務理事 佐々木邦夫

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 今、北海道で稼働している陸上の風力発電は459基。とくに日本海側が非常に多い。また、今環境アセスが進んでいる陸上の風力発電(計画基数)が2010基。あわせると、およそ2500基弱、総出力は758万㌔㍗になる【表参照】。

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北海道のメガソーラーと大規模風力問題をどう解決するか 日弁連が公開学習会 函館や白老の住民運動報告 2026 wodou suruka hui nozhu 2026 2 (2026年8月3日付掲載)
石狩湾の港湾区域で稼働する石狩湾新港洋上風力発電。8000㌔㍗の巨大風車が林立する
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 北海道電力によると、現在、北海道で消費されている電力量はおよそ500万㌔㍗といわれる。だからといって、この風力発電がすべて稼働すれば消費電力をすべてまかなえるというものではない。

 

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 加えて北海道の洋上で、洋上風力発電が計画されている。国が再エネ海域利用法にもとづいて一般海域に促進区域を指定し、そこで環境アセスが進められている。

 

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 現在、石狩市沖が有望区域に指定されており、そこで11の事業者が環境アセスを進めている。

 

①コスモエコパワー株式会社、最大125基。
②シーアイ北海道合同会社、最大200基。
③石狩湾洋上風力発電合同会社、最大140基。
①株式会社JERA、最大65基。
⑤ジャパンリニューアブルエナジー株式会社、最大105基。
②株式会社グリーンパワーインベストメント、64~80基。
⑦丸紅株式会社、71~105基。
⑧日本風力開発株式会社、最大250基。
⑨石狩湾洋上風力発電合同会社、最大108基。
⑩関西電力株式会社、119~130基。
⑪住友商事株式会社、最大67基。

 

 さらに石狩湾から南西の渡島(おしま)半島・日本海側にそって、岩宇・南後志(しりべし)地区沖と島牧沖が有望区域に、また檜山沖と松前沖が促進区域に指定されており、そこでも11の事業者が、それぞれ最大100~最大135基などの洋上風力発電建設を想定し、環境アセスを進めている。

 

 その石狩湾は、「生物多様性の観点から重要度の高い海域」(環境省)で、多くの鳥類や魚類などの産卵場所や生育場所になっている。放流されたサケやニシンの稚魚は、沿岸で育ち幼魚となる。積丹(しゃこたん)半島は、天然記念物・絶滅危惧種のオジロワシの生息場所になっている。

 

 環境アセスの手続きのなかで、住民が意見をのべる機会は少ない。配慮書段階で意見書を出せるのと、方法書と準備書段階で説明会に参加でき、意見書を出せるだけだ。加えて2021年に環境影響評価法施行令の改正があり、環境アセスの対象となる事業規模について、第1種事業を「1万㌔㍗以上」から「5万㌔㍗以上」に引き上げた。5万㌔㍗以下はアセスの対象にならない。

 

酪農地帯で低周波被害 豊富町の風力発電

 

 北海道の豊富町という、放牧型酪農が盛んで牛乳の産地として有名な地域で起こっていることを紹介したい。

 

 豊富町には芦川ウインドファーム(4300㌔㍗×31基)と、川南ウインドファーム(4300㌔㍗×19基)が稼働している。ちょうどその二つの風力発電にはさまれ、風車まで2㌔の距離しかないところに住んでいる人から、「夜、うるさくて眠れない」という連絡をもらった。頭の底でグオンと響くような音を感じたりするという。毎日、記録簿をつけているといわれていた。

 

 その後、理由はわからないが、6月の初めの1週間弱、すべての風車が運転を停止した。すると、夜中に1回も目が覚めず、熟睡できたという。2、3日前に連絡をとったときには、「また風車が回り始めて、うるさくて眠れない」といっていた。

 

 すべての人がそうなるわけではないが、感受性の強い人、また一度気になり始めると無視できなくなる人のなかで風車騒音・低周波音の影響が出ている。

 

 また、シャドーフリッカーが起こっている。晴天時、風力発電の運転にともなって、ブレードが回るたびにチラチラ、チラチラと影の明滅が起こり、住民が不快感を感じる現象のことだ。風車のローター径(ブレードが回転してできる直径)の10倍の範囲で起こるといわれている。

 

 さらに、山の尾根筋に大型風車を建設する場合、森林を伐採したうえ、その地下に巨大なコンクリートの基礎を埋設することになる。加えて巨大なブレードや重機などを運ぶため、風車に至るまで作業用道路をつくるので、森林の改変面積が大きくなる。北海道のある場所で測ったところ、道路幅が30㍍もあった。

 

 バードストライクも起きている。北海道の最北端・宗谷地方(京都府とほぼ同じ面積)では、環境アセスが今のまま進むと、800基の陸上風車が稼働することになる。陸上風力も大型化しており、単機出力6000㌔㍗、高さ220~240㍍の風車も登場している。宗谷地方の浜里ウインドファーム(4300㌔㍗×14基)の近くでは、2023年5月から2年9カ月間で、オジロワシやオオワシなど14件のバードストライクが確認された。

 

反対署名3万で中止へ 函館の風力発電計画

 

 ここで、函館市(約23万人)の函館寅沢風力発電事業【地図参照】について報告する。北海道の他の地区と同様の非常に大きな問題があることを明らかにしたい。

 

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石狩湾の港湾区域で稼働する石狩湾新港洋上風力発電。8000㌔㍗の巨大風車が林立する
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 函館寅沢風力発電事業は、函館市寅沢町などの1118㌶を事業実施区域とし、その尾根筋に4300㌔㍗の風車を11基建てるもの。ブレードの回転直径は117~140㍍で、航空機を横に2機並べたくらい。高さは142~195㍍と非常に大きいものだ。函館の五稜郭タワー(107㍍)、札幌のステラプレイス(173㍍)よりも高い。事業者は米国エネルギー企業大手インベナジー社の日本法人だ。

 

 事業実施区域は、全域がブナなどの自然林が分布している場所だ。また、亀田川・松倉川の源流域で、函館市の水道水源である赤川水源地・笹流ダムの直上にあたる。函館市民に水を供給する重要な水源地だ。

 

 しかも、事業実施区域の全域が保安林に指定されている。多くが水源涵養保安林(保水能力や洪水緩和機能を持つ)であり、一部が保健保安林(塵埃〈じんあい〉や煤煙のろ過機能を発揮し、公衆衛生に貢献する)である。森林法にもとづく保全区域に当たる。

 

 さらに現地は尾根の両翼が切り立った崖で、深い沢があり、事業実施区域の周辺が地滑り地(過去に地滑りを起こしている場所)だった。ここの尾根を開発すると、大雨が降れば濁水や土砂崩れのリスクは高まらざるをえない。現地に行って見てみたが、火山岩の非常にもろい地質だった。

 

 以上のことから、地元住民は寅沢風力発電事業について次のことを訴えてきた。

 

 第一に、計画地は函館市民の「命の水」を生む地域である。

 

 第二に、森林の大規模伐採は水源涵養機能の喪失につながる。風車を建てるために、約20㍍四方・深さ4・6㍍の基礎を埋めるが、11基で大量の残土が発生する。残土は盛土として再利用される可能性が高く、盛土崩壊、雨季の濁水流出、斜面不安定化などのリスクが生じる。

 

 第三に、函館山からの眺望(夜景)はきわめて重要な公共資産であり、日本を代表する景観である。ここに巨大風車が建ち、夜間に航空障害灯が点滅するようになると、景観の価値を損なう。

 

 第四に、大規模な森林伐採は多様な動植物の生息地を奪い、生態系を分断し、バードストライクなどのリスクを高める。一度失えば、元の生態系に戻ることはきわめて困難だ。

 

 第五に、低周波音による健康被害のリスクが生じる。

 

 風力発電計画が持ち上がると、住民はいち早くこの動きをつかみ、行動を開始した。事業者は今年4月17、18の両日、函館市内で環境アセス方法書説明会をおこなったが、これを知った住民は18日から計画撤回を求めるオンライン署名を開始。5月1日には「函館の水源と生態系を守る会」を結成して8人の共同代表を選出し、紙の署名も開始した。

 

 署名は、40日余りで3万筆をこえ、同会は函館市長と北海道知事、事業者に署名と要望書を提出。5月23日には市民フォーラムを開催したが、オンライン参加とあわせて200人以上の市民が活発な意見交換をおこなった。こうしたなかで事業者は7月23日、風力発電事業の中止を発表している。

 

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石狩湾の港湾区域で稼働する石狩湾新港洋上風力発電。8000㌔㍗の巨大風車が林立する
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5月に開かれた風力市民フォーラムには約200人が参加した(函館の水源と生態系を守る会提供)

・10万署名集め条例改正 白老町メガソーラー問題

 

 続いて、北海道の白老町再生可能エネルギー連絡協議会事務局長の大西潤二氏が、「白老町メガソーラー問題と住民自治」と題して報告した。

 

 白老町(約1万4400人)は太平洋に面しており、森林面積が町全体の8割を占める緑豊かな町だ。自然観光や林業などが里山を拠点におこなわれており、森林の豊かな栄養塩が海に注ぎ、漁業も盛んな町である。

 

 大西氏は、「私は白老町で林業を営んでいる。住民運動を始めたきっかけは、地域の里山が外資系企業に買収されたり、自身が関与してきた山林が発電事業のために管理契約を一方的に解除されるなどの実害が生じていたからだ。自身の事業の死活問題であったためでもある」とのべた。

 

 白老町では2024年7~12月に6カ所ものメガソーラー計画が持ち上がった【地図参照】。どの計画に対しても、土砂災害によるパネル崩落の懸念や、計画地に北海道が定める津波浸水エリアが含まれていること、生態系や景観への影響が懸念され、多くの住民が不安を感じた。昨年6月には、石山地区の3町内会が世帯数の9割にあたる535筆の反対署名を町に提出した。

 

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石狩湾の港湾区域で稼働する石狩湾新港洋上風力発電。8000㌔㍗の巨大風車が林立する
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 大西氏は、「6事業者のうち5事業者が住民説明会を開催する一方で、住民は署名活動を昨年春頃から開始した。工事着工の当初計画は2025年秋から2026年と差し迫った計画であることも判明し、町の各地で反対運動を展開した結果、2023年6月制定の再エネ条例を改正し、事業を規制するという結果になっている」とのべた。

 

 また、「今回の活動でとくに印象的で象徴的な出来事は、エクイスグループが報道を制限する形で住民説明会を開こうとしたことだ。住民から“透明性に欠ける”という声があがり、数時間に及ぶ押し問答の末に参加した住民約80人の大多数が退席し、住民説明会が中止になった。この出来事はテレビニュースでも報道され、これを契機に町全体の関心が高まった」とのべた。

 

 それまで町内では、「自然を愛する住民の会」「しらおい竹浦の自然を守る会」「ブウベツの森を守る会」の三つのグループが活動していた。それぞれ別々に署名活動などをやってきたが、町全体の課題としてとりくもうということで白老町再生可能エネルギー連絡協議会が立ち上げられた。

 

 各団体の奮闘によってメガソーラー計画反対署名は、オンライン署名が約10万5000筆、直筆署名が約3500筆にのぼった。各団体は昨年12月24日、11万筆に迫る反対署名を大塩英男町長に提出。同時に連絡協議会は、町の再エネ条例の改正要望書を町長に提出した。大西氏は、「住民が町を動かすには世論形成が必要なため、この署名活動は町が条例改正に踏み切る後押しになったと思う」と強調した。

 

届出制から許可制へ 新条例の内容

 

 連絡協議会は次に、住民総意の条例改正案をつくるに当たり、内容の検討段階から町にも参加してもらう方がよいと考え、昨年12月に2度、幸田雅治弁護士と室谷悠子弁護士に助言をもらうオンライン勉強会を開催した。町側からは、副町長をはじめ担当職員4~5人が参加した。

 

 町側からは、「既に事前協議を終えている事業者へ改正条例を適用することは、不遡及の原則に抵触しないか。適用した場合に訴訟リスクはないか」との懸念が示された。これに対して幸田弁護士から、「憲法第三九条が禁止しているのは、遡及処罰(新しい法律で、昔の行為をさかのぼって罰してはならない)である。今回の条例は罰則を伴うものではない。既に事業に着手している事業者への遡及適用も可能。まして、事業の着手前の事前協議段階の事業者に改正条例を適用することは問題ない。訴訟リスクを恐れることはまったくない」との見解が示された。

 

 連絡協議会は、この勉強会を踏まえて町長に改正条例案を提出した。そこで一番重視したのが、再エネ事業を届け出制から許可制に変更することで、その他に設置エリアを禁止区域・抑制区域・促進区域とゾーニングすること、審議会を設置すること、解体・撤去費用確保のための保証金制度をつくること、などだった。

 

 これに対して町は、条例改正は受け入れたものの、事前協議を終えた事業者(六事業者)の計画には新条例を適用させないと主張した。これは幸田弁護士の見解を無視するもので、連絡協議会側は「過剰に訴訟リスクを恐れ、発電事業者側の権利を過剰に擁護したのではないか」と受けとめた。

 

 その後、町から示された条例改正案の附則(経過措置)は、「事前協議を開始している事業者については、旧条例の規定を適用する」というもので、発電事業者の権利を擁護する改正案だった。

 

 これでは改正の意味がないと、住民は激しく抗議し、附則の削除を求めた。それだけでなく環境審議会やパブリックコメントでも、大多数が事前協議済みの事業者にも新条例を適用することを求めた。

 

 結局町は、町民の意見を踏まえて、事前協議済みの事業者にも改正条例を適用する方針に変更した。この改正条例は3月19日の定例町議会で、傍聴席で住民が見守るなか可決された。

 

 条例改正の主な点は次のとおり。

 

 ▼再エネ事業を届け出制から許可制に改め、「あらかじめ町長の許可を受けなければならない」とした。許可基準として、環境保護、景観、反射光、騒音、防災などに関する適切な措置のほか、近隣住民への説明が適切におこなわれていることなどを規定した。

 

 ▼禁止区域の規定を「することができる」から「する」に改めて強制力を強化し、事業の自粛を要請する区域として抑制区域を新たにもうけた。

 

 ▼事業者に発電設備の解体、撤去、廃棄物の処理などに要する費用を負担させるため、あらかじめ保証金を金融機関に預け入れなければならないとした。

 

 ▼町長が事業者に対し、「防災上必要な措置が、規則で定める基準に適合していること」などに違反した場合、事業許可の取り消しを求めることができると新たに規定した。

 

 ▼「地域住民等」の定義を明確化した。事業区域の境界から300㍍以内に居住する者(再エネ特措法で規定・環境アセス対象外の事業)だけでなく、居住する者が属する町内会及び隣接する町内会の代表者や構成員のほか、事業実施で影響を受ける恐れのある観光業や農林水産業その他の事業者や、自然災害が発生した場合にその影響を受ける恐れのある者などを追加した。

 

 ▼住民説明をめぐって、「事業計画概要の公表」や「欠席者に対しても意見を聴取し誠実な回答を求める」「不適切な方法によりおこなわれた説明会は無効とし再実施を命じることができる」を追記した。

 

 ところが、町の執行部が改正条例の施行日を5月1日としたため、約1カ月半の規制の空白期間が生まれた。その結果、メガソーラー事業者1社の駆け込み申請を許すことになった。改正条例公布日に即日施行すればこうした事態を避けられたが、議会も5月1日施行という町の提案に修正動議を発動することなく、そのまま可決された。住民団体は空白期間中の届け出にも厳格に対応するよう求めたが、残念な結果になった。

 

 大西氏は、「今回、条例改正は実現したが、住民の不安は残ったままだ。一方で活動で気づいたことは、再エネ問題に無関心な方も多いなかで世論形成をしていくことは容易ではないが、さまざまな立ち位置の住民が協力すれば、地域で一定の成果を上げることは可能だと実感した。今回の条例改正は、住民の声が行政を動かした一つの事例になったと思う。条例をつくって終わりではなく、条例が適切に運用されているかを住民が今後も見守っていくことが大切だ。着工を許した以外の五つの事業者も、条例改正後も事業の中止や撤退を表明しておらず、引き続き注視していく」とまとめた。

 

・条例制定の意義

 

 白老町のとりくみに関連して、弁護士の小島延夫氏が報告をおこなった。日本弁護士連合会は、全国各地でメガソーラーや大規模風力発電が自然環境や住民生活を脅かしている実情を踏まえ、各地方自治体がこれに対して実効性のある条例をつくって臨むことができるよう、7月16日にモデル条例を公表し、各自治体や議員、住民に活用を呼びかけている。小島氏は次のようにのべた。

 

 「なぜ条例の整備が必要か。日本には国土の全体に及ぶ、包括的な自然保護法がない。日本は国土の3分の2が森林だが、森林については森林法による規制しかない。緩やかな林地開発許可制度があるが、住民の参加は担保されておらず、森林の多面的機能は考慮されず、林地開発許可が出たあとの維持管理義務がない。森林の半分は保安林に指定されているが、その指定はかんたんに解除されている。さらに原野や湿地はなんの規制もない」

 

 「対照的なのがドイツ連邦自然保護法だ。ドイツの全域を対象に、自然を改変しようとすると、そこで失われる自然と同等の価値をどこかにつくりださないかぎりその事業は認められないとしている。この法律は2009年に成立した。そのなかには行政による早期の問題チェック・早期の住民参加という制度がある。北海道よりも少し面積の小さいバイエルン州には、500人の自然保護担当官がいて、すべての開発事例で現場に行ってチェックをする。住民の動きと州の動きがあわさって、全国レベルの自然保護法を実現させた」

 

 「日本では現在、メガソーラーや大規模風力を規制する条例は、全国で336自治体が整備している。2023~25年の3年間で、約100自治体が新たに制定した。北海道では29自治体が制定している。最近の条例の特徴は、届け出制から許可制へ、ゾーニング、撤去費用の確保など、内容的にも強化されていることだ。釧路市が今年1月から施行したメガソーラー規制条例では、その時点で着工していないものはすべて規制の対象とするとした。いずれにしろ、条例を生かすかどうかは住民のとりくみにかかっている」

 

 その後のディスカッションでは、白老町のメガソーラー問題をめぐって、当初は条例改正に消極的だった町の姿勢をどのように変えていったのかと質問が出された。

 

 これに大西氏は、「やはり世論の盛り上がりが大きかった。昨年は釧路湿原のメガソーラー問題が全国的に報道されて、社会的な関心が高まった。そのなかで白老町の問題も注目されるようになった。最終的にオンライン署名が10万5000筆、直筆署名が3500筆。その他にパブリックコメントも133件と、通常ではあまり見ない数の意見が多く出された。それを町も重く受けとめて、条例改正につながったと思う」と答えた。

 

 佐々木氏は北海道で再エネ事業の中止が増えてきたことに触れ、「たんに再エネに賛成か、反対かではない。再エネの問題が持ち上がったことをきっかけに、住民が自分たちの生活や地域の財産を見直している。その地域財産を守り、子や孫の世代に残していきたいという思いが非常に強まり、なにがいいことでなにが悪いことかをしっかり見極めて行動に移っている」とのべた。

北海道のメガソーラーと大規模風力問題をどう解決するか 日弁連が公開学習会 函館や白老の住民運動報告 2026

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