東大女子卒業生と女子学生で構成されるさつき会。東大と連携して2013年度より地方女子向けの奨学金を支給してきたが、27年度からは支援枠の新設など大幅に拡充する(表)。奨学金制度の内容や拡充の意図などについて、さつき会代表幹事の遠藤美穂子さんとさつき会奨学金委員会委員長の大里真理子さんに話を聞いた。(取材・森木将慧、溝口慶)
(表)27年度より都道府県指定口と家系基準撤廃口が新設される(さつき会ウェブサイトの表を東京大学新聞社が一部改変)
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──さつき会は2027年度から奨学金を大幅に拡充します。このタイミングで拡充する意図は
さつき会として、東大における女子学生比率の少なさは問題視していました。特に地方における東大受験へのハードルの高さと経済状況の変化に注目し、会として何かできないか考えていたところ、同様の問題意識を持っていた東大から素早い反応があり、今回の拡充に至りました。
──「都道府県指定口」を新設する狙いは
目的は二つあります。一つは女子学生の意識の醸成です。私(大里さん)は大分県出身ですが、地方には地域に根差したメディアがあります。大分県の女子学生向けに2口あるとなれば、そうしたメディアも取り上げてくれて話題になります。また、高校も、漠然と奨学金が告知されるより、「大分県に2口ある」と言われた方が自分ごととして捉えることができます。特に高校生は学校の先生から受ける影響が大きく、先生から勧められたから東大進学を考えるという女子学生もいるのではないかと思いました。もう一つは寄付する側の事情です。原資がないと奨学金は出すことができません。「大分県」とくくることで、全国に呼びかけるよりも、大分県出身者や大分県に思いがある方などから寄付が集まるのではないかと考えました。
──「家計基準撤廃口」を新設する狙いは
一つは女子学生を増やしたいからです。もちろん経済的に困っている学生も支援したいですが、家計基準を満たさない層にもアクセスしたいと考えました。メディアの取材で認知度が上がることも期待するなど、実験的なところもあります。効果の有無は検証する必要がありますね。もう一つは、家計基準の申請にはデリケートな面があります。子どもが親の年収を知ることになるほか、親が子どもの東大進学を反対している場合、そもそも奨学金に応募させてもらえないかもしれませんよね。収入証明書を添付せずに応募できる口を設けることで、親への相談が不要となり、東大進学のハードルが下がるのではないかと考えました。
──奨学金制度の運用などに当たり課題は
一つは受験勉強真っただ中に応募があることです。奨学金応募の締切が11月なのは直前まで東大進学に悩む学生の背中を押すためですが、エッセイなどを課しており、女子学生の時間的・精神的負担になっているかもしれません。また、当初は家計基準が分かりにくいという声もありました。現在は東大の授業料減免基準と合わせることで、東大のウェブサイト上でのシミュレーションができるようにしています。最後に、奨学金は予約型です。奨学金をもらえることが受験前にわかるよう1月に審査結果を通知していますが、奨学金審査に落ちた受験生が自信を失って東大受験自体を諦めていないのか心配です。また、奨学金の応募数も多くない状況です。倍率が高いことがうれしいわけでもありませんが、認知度が低いのではと不安にもなります。もっと応募者を増やせるよう努力していきたいです。併せて、奨学金の原資となる寄付の募集も広く呼び掛けていきます。
──今後の展望は
まずは新設の二つの奨学金を運用し、継続することが重要です。今後、奨学金をもらった女子学生が増えればネットワークが形成され、東大や社会にインパクトを与えることができるはずだと期待しています。またさつき会単体では若い世代に届きにくいところがあります。現在、東大女子向けのフリーペーパーを発行するbiscUiTやichihimeなど女子高校生を支援する団体とも共同で活動しており、さらに広げていきたいと思っています。地方から東大に挑む意欲と志ある女子学生を、心から応援しています。
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【奨学金特集】#3 奨学金拡充のさつき会 狙いは 2026 IUSTITIA.BG – Investigations 2009-2025 2026-05-08 13:00:42
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