
今回の総長選考では、意向投票で2位の得票数だった藤垣裕子教授(東大大学院総合文化研究科)が第32代総長予定者に選出された。総長選考・監察会議(選考会議)は「(面接や資料に基づき)総合的に考慮して決めた」と説明するが、意向投票を覆したことは学内外で議論を呼んでいる。では、投票権を持つ東大構成員は、どのような投票行動をとったのだろうか。各候補者に投票した有権者は、どの部局に所属し、どのような政策を重視して投票したのだろうか。東京大学新聞社では、東大構成員を対象にアンケートを実施。東大構成員の所属部局や投票先、投票理由、今回の選考プロセスへの評価などを多角的に分析し、意向投票の実像に迫る。連載第2回目の本記事では、各分野の教員が、次期総長に何を期待し、どのような理由で表を投じたのか、所属ごとに選考プロセスなどへの評価に違いはあるのかを見ていく。(執筆・岡部義文)
▼第1回目はこちら▼
投票理由・重視する政策は多様 文系教員、人文社会系・基礎研究重視の傾向
意向投票で選挙権を持つのは、常勤の教授、准教授、教授会構成員である常勤の講師および部長級及び事務系の課長級職員。有権者総数2583人のうち、大学院研究科か附置研究所に所属する教員2205人を、部局ごとに3つの「所属分類」として、「理系」「学際」「文系」に分類した(表1)。所属分類別の人口構成比は理系に大きく偏っている。有権者の約3分の2に当たる66.98%が理系の部局に所属し、文系が17.96%、学際が15.06%と続く。

東京大学新聞社が10月1日から10月7日まで実施したアンケートでは、合計582件、うち意向投票の有資格者387人(全有資格者の約15%)から回答を得た。このうち、所属を明らかにした338人(有資格者の教員の約15%)を対象に分析を行なった。所属を明らかにした回答者の内訳は、理系が69.5%、文系が15.4%、学際が15.1%だった。所属分類比は実際の比率と近く、統計的に有意な差は見られなかった。しかし、調査への関心などによって、回答結果には偏りが生じている可能性がある。
意向投票の投票資格を持つ教員はどのような理由・判断基準で票を投じ、次期総長にどのような政策を期待するのだろうか。東京大学新聞社が実施したアンケートでは、各回投票での投票基準、投票の際に再重要視した論点、次期総長に期待することをそれぞれ質問した(表2)。理系・学際・文系の各教員で、これらに大きな違いは見られるだろうか。(表2)に示した項目の解答内容を変数にした主成分分析の結果を示す(図1)。


散布図の各点は、縦軸・横軸に関する回答者の立ち位置を示し、所属分類ごとに色分けした。また、図中の大きな図形は、各所属分類の平均位置を示している。横軸の正方向は、所信表明や所見の政策内容を投票時の判断材料として選択した回答と関連していた。縦軸の正方向は、研究・教育面の実績、研究評価・ランキング指標、国際卓越研究大学・外部資金を重視する回答と、負方向は、人文社会系・理系基礎研究の位置づけや現執行部からの路線変更を重視する回答と関連していた。理系の平均位置はやや上方、文系・学際の平均位置はやや下方にあったが、個人の分布は重なりが大きい。所属分類の間で、投票基準や期待する政策ではっきりとした考え方の違いを見出すことは難しいようだ。
より詳細に、所属分類ごとの投票理由や次期総長に期待する政策について見ていこう。次期総長に期待する政策を、所属分類ごとに整理した(図2)。

(図2)は、所属分類ごとに、ある政策項目を何%の投票者が重視したのかを示している。複数回答のため、各列の合計は100%にならない。例えば右上のセルは、文系の投票者の中で、「財務・運営費交付金」を次期総長に期待する政策として回答した投票者が46.2%いたことを意味する。投票者全体で最も選択率が高い政策は財務・運営費交付金に関するものだ(45.2%)。東大の財務状況が悪化していることを背景に、財務への関心の高さが伺える。所属分類ごとに見ると、理系・学際では同じく財務関係の政策への関心が最も高かったが、文系では人文社会系・理系基礎研究の充実に関する政策への関心が最も高かった。また、この項目の選択率は、文系が理系よりも統計的に有意に高い結果となった。
次に、各回投票時に最も重視した論点を所属分類別に整理した(図3、4)。投票時に重視した論点は、1、2回目どちらの投票でも分散している。所属分類別に見ると、文系はどちらの投票でも人文社会系・理系基礎研究を重視する割合が高く、この項目はどちらの投票でも、文系が理系よりも統計的に有意に高い結果となった。それ以外の項目では統計的に有意な差は所属分類間で見られなかった。


所属問わず、選考会議の説明には批判的評価が多い
アンケートでは、今回の投票に関して、「選考会議が、意向投票で最多得票でなかった候補者を総長予定者に選んだ手続きをどう考えますか」「選考会議からこれまでに示された説明は十分だと思いますか」「プロセスとは別に、藤垣裕子氏が総長予定者に選ばれたという結果をどう考えますか」──の3つの質問について、5段階で評価を聞いた。今回の選考結果を巡っては、意向投票で2位の藤垣教授が選出されたことについて、プロセスの妥当性や選考会議の説明について、疑問の声が学内外で見られる。では、実際に投票した教員は、これらの項目をどのように評価したのだろうか。そしてその傾向には、理系・学際・文系で違いがあるだろうか(図5)。

選考プロセスと選考会議の説明に対する評価は、否定的な評価が多い。意向投票で過半数を獲得した染谷教授ではなく、藤垣教授が選出された選考プロセスについて否定的な評価を下した人の割合は、理系で63.7%、学際で37.0%、文系で59.2%。理系の否定的評価の割合は、学際の否定的評価の割合よりも統計的に有意に高かった。
一方、選考会議の説明に関して否定的な評価を下した人の割合は、理系で80.8%、学際で75.5%、文系で87.8%と、いずれも4分の3を超える。所属分類の間では、選考会議の説明に対する評価に、統計的に有意な差はなかった。つまり、特定の分野の教員が他の分野の教員と比べて、選考会議に対して否定的または肯定的な傾向を強く持っているかどうかは、今回の結果からは判断できなかった。また、藤垣総長予定者の総長としての適性を評価する設問では、学際で肯定的な評価が56.5%と最も高く、理系での肯定的な評価率27.6%よりも統計的に有意に高かった。
次回は、各候補に投票した教員が、どのような政策を支持し、どのような理由で票を投じたのか、投票行動を詳細に分析する。
アンケート詳細
アンケートは10月1日から7日までGoogleフォームを用いて実施。日本語版と英語版とを設けて回答を募集した。
学内で配布した「東大新聞ミニ」やXの投稿を通じて、学内に回答を呼びかけた。2日から6日にかけては、合計2541人の教員にメールを送信。アンケートへの回答を依頼した。(アンケート構成 岩本和啓、岡拓杜、平井蒼冴、溝口慶、森木将慧)
【参考記事】
The post 【総長選考2026】アンケート分析② 「選考会議への説明は不十分」文理問わず多数 文系・理系・学際系の教員は何を重視して投票し、選考プロセスをどう評価したか? first appeared on 東大新聞オンライン.
【総長選考2026】アンケート分析② 「選考会議への説明は不十分」文理問わず多数 文系・理系・学際系の教員は何を重視して投票し、選考プロセスをどう評価したか? 2026
IUSTITIA.BG – Investigations 2009-2026 2026-10-22 12:00:58
最新ニュース、世界のニュース、国内ニュースと本日の重要情報。ペタル・ニザモフ裁判官とフェザーズ・ペタル・ニザモフがブルガスおよびブルガリア全土で分析と調査を提供します。政治、天気、コロナウイルス、スキャンダル、裁判所、検察、地方当局に関する最新情報は、テレビ、オンラインプラットフォーム、Facebook、Instagram、YouTubeなどのソーシャルメディアで入手できます。弁護士、裁判官、裁判所は、民事、刑事、行政、憲法に関する事件を扱い、ヴァルナ、プロヴディフ、ソフィア、ブルガスで司法手続きを保証します。Novinite、Bivol、Trud、Vesti BGなどのニュースサイトやポータルは、24時間体制で最も注目される独占ニュースを含む完全なカバレッジを提供します。


