硬式野球部(東京六大学野球)は4月11日、開幕カードとなる明大との1回戦を戦い、2─3で敗れた。2点ビハインドの7回表に追いつく互角の戦いも、明大のハイレベルな完成度の攻撃を前に一歩及ばなかった。(取材・撮影 宇城謙人、吉野祥生、木下太陽、ゼリビ・カミル、風戸秀仁)
東大|0 0 0 0 0 0 2 0 0 |2
明大|0 0 0 2 0 0 0 1 X |3
千鳥ヶ淵の桜も花びらが散って葉ばかりになり、Tシャツ姿も目立つ11日。六大学野球の春がやってきた。
昨年、東大野球部は春季リーグ戦で0勝10敗、秋季リーグ戦は2勝10敗。ハイレベルなリーグにあって苦闘するのが恒例となっている。酒井捷らのベストナイン経験者3人に、絶対的エース・渡辺向輝を擁した学年が卒部し、今春も圧倒的な力量差に屈するかと思われたが、この日は「がっぷり四つ」だった。
先発は松本慎之介(育・3年)。先日プロ志望を公言した左腕エースの投球が光る。140km/hに迫る直球と緩急つけた変化球で押し込む。長打を許さず、スター軍団の明大打線から得点の隙を与えない。
東大打線も負けていなかった。明大の先発は湯田統真。甲子園の申し子、こちらもスターだったが、直球に振り負けない。新打線の4番・荒井慶斗はマルチヒットを記録。明大のプロ注目捕手・福原聖矢の肩をかいくぐり、2盗塁を決めた。

松本が試合を作り、堅実な守備で守りきる。打線は好投手を前に足で揺さぶり、「弱者の兵法」なりに「ほぼ」完璧な攻撃ができていた。
ただ、「ほぼ」ではダメだった。
4回裏、明大の先頭・榊原七斗が出塁すると、次打者・田上夏衣の放った当たりはセカンドへ。二塁手・秋元諒(法・3年)がスタンドも驚く好捕も、二塁にカバーに入った遊撃手への送球が間に合わず無死一、二塁のピンチ。きっちり送りバントを決められ走者が進んだところで、1点は仕方ないシチュエーション。東大は前進守備を敷かなかったが、ここで福原が「きっちり」内野ゴロを放す隙のなさ、1点を先制される。さらに次打者の打席で松本が投球した低めへのボールを捕手が前に止めて、行き先を見失うとその隙に三走が本塁突入。松本が素早いカバーをみせていたためギャンブル性がかなり高かったが、相手三走の俊足に及ばず、あまりにも無情な2点目が入る。
しかし、踏みとどまったのは今年の東大だ。続く5回裏にも1死満塁のピンチを招くが、先ほどの雪辱に松本が燃える。4回裏に本塁生還した榊原、田上と連続で空振り三振に仕留め、吠える。
さらには7回表に打線が奮起。1死から樋口航介(養・3年)が執念のヘッスラで内野安打をもぎ取ると、盗塁に小村の安打で一、三塁。迎えた明石健(農・4年)は粘りに粘り、明大・山口瑛太に根性勝ち、引っ張った大飛球は二塁打となり、1点を返す。さらに絶好機に大久保監督はリーグ戦初打席となる代打・村尾優作(理Ⅱ・2年)を送ると、スタンドは大歓声。その中で村尾は初球を完璧に引っ張る勝負師ぶりを見せつけ、打球が三遊間を破り同点となった。
互角の戦いで、流れも来ていた。しかし、あまりにも明大打線の攻撃は精緻で、「きっちり」していたのだ。
8回裏のマウンドに立っていたのは江口直希(工・4年)。持ち味の力強い直球と誰の目にも鋭い変化球はそのまま、コントロールが飛躍的に向上した。松本の後を受けて好救援を見せていたが、1死から3連打で満塁の危機。続く打者をセンターへの浅いフライに仕留め、体勢を崩しながらの好捕に盛り立てられるも、中堅手が体勢を崩したのを三走が見逃さなかった。またも本塁突入し、返球は間に合わない。勝ち越しを許す。
残された9回表の攻撃も、明大の盤石なリリーフを前にはタフすぎた。小村が2死から安打で出塁も、後続が続けず。明大への勝利を目標にしてきた今春のチームは、本当に一歩「だけ」及ばなかった。

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